肩こりで日々つらい思いをしていませんか?
自宅で簡単にできる肩こりストレッチや、肩こりを根本的に解消する方法などがあれば知りたい方も多いのではないかと思います。
そこで、今回は東京都の祐天寺にある鍼灸院「アキュリート」の院長、大浦先生にお話を伺ってきました。
「肩こりの解消ストレッチ」、「肩こりの予防策」、「肩こり防止の筋トレ」、「肩こりに効くツボ」、「頭痛と首コリなどの関係性」、「肩こりの原因」など、肩こりに関することを徹底的にヒアリングしてきました。
この記事が、あなたの肩こり解消に役立てば幸いです。それでは、早速解説していきます。
▲正しい姿勢&呼吸の仕方はこちらの記事で解説しています▲
目次
今回「肩こり」についてお話を伺ったのはこの方!鍼灸院アキュリートの大浦先生
院長:大浦祐之(OURA YOSHIYUKI)
鍼灸師、あん摩マッサージ指圧師 (厚生労働省認定 国家資格)
慶應義塾大学商学部卒。高校・大学ともにアメフト部に所属し、現役時代に怪我の治療で鍼灸マッサージ治療を受けた事がきっかけでこの世界を志す。大学卒業後、神奈川衛生学園にて鍼灸マッサージ師資格を取得。その後トレーニング指導&コンディショニング調整を専門とする会社に約5年間勤務。機能障害のリハビリを目的としたファンクショナルトレーニング指導の経験も積む。
その後、主に健康志向および美容意識の高い個人顧客をクライアントとする鍼灸マッサージ師として独立し、一人でも多くの方に鍼灸治療の素晴らしさを体進およびQOLの向上に貢献するため、2015年にアキュリート祐天寺を開設。
鍼・マッサージ・ストレッチ・運動指導など、それぞれの状態に応じたオーダーメイド施術は非常に評価が高い。また、近年ではウェルエイジングのための美容鍼も積極的に取り入れ、身体の内面から改善させるアプローチが好評を呼び、モデルやタレントなど様々な業界にクライアントを抱える。
ひどい肩こりも解消するストレッチやマッサージとは?
※胸椎(きょうつい)とは?
胸椎(きょうつい)とは、背骨の真ん中あたりの12個の骨のことをいいます。
動かすことで、肩こりの緩和に役立ちます。
胸椎は意識して動かすことが難しいですが、下記のストレッチを行うことで動きやすくなります。
というのも、胸椎は頭や首につながる筋肉や横隔膜などの土台部分になるので、胸椎がしっかり動くことで筋肉の動きも良くなり呼吸もスムースになるのです。
また、胸椎は重い頭を正しい重心線上に保つための土台にもなるため、胸椎の動きが固まって悪くなると頭の位置が正しい位置に定まらなくなります。つまり、胸椎の固まりは首肩の凝りに直結しているため、胸椎を動かすことが大事なのです。
肩こりストレッチ1:キャットアンドキャメル
こちらは「キャット・アンド・キャメル」と呼ばれるストレッチです。
手と膝をつき、背中を丸めたり、まっすぐにしたりします。
胸椎(きょうつい)の真ん中を突き上げることでストレッチかかり、肩こりに効果的です。
肩こりには柔軟性が大事で、肩甲骨を「開く・よせる」といった筋肉を使うことで筋肉を柔らかくしていきます。
また、このストレッチにより肋骨の外側にある「菱形筋(りょうけいきん)」や「前鋸筋(ぜんきょきん)」の機能が上がるため、肩こりにおすすめのストレッチです。
肩こりストレッチ2:腕を突き出す
こちらのストレッチでは、仰向けにねて腕を突き出し、肩甲骨のあたりから前後させます。
これにより、肩甲骨まわりの筋肉が動くため、肩こりが緩和されやすくなります。
腕だけでなく、肩甲骨(背中の天使の羽があるあたり)から動かすのがポイントです。
肩こりストレッチ3:横隔膜を緩める
こちらは、横隔膜(おうかくまく)を緩めるマッサージです。
年齢を重ねるごとに、肋骨が上にあがりやすくなり、みぞおちのあたりが緊張しやすくなります。
このマッサージを行うと、みぞおち周りが緩んで横隔膜の動きが良くなるため、深い呼吸がしやすくなります。
肩で呼吸をしてしまうと肩こりの原因となりますが、横隔膜やみぞおち周りが緩めば呼吸時にも肩が動かなくなるため、肩こりの解消に役立ちます。
多くの場合、背中が丸い → 呼吸が浅くなる → 肩や首の筋肉を使って頑張って呼吸する → 肩や首が凝る、というメカニズムで肩こりが起こりやすくなっています。
肩こりストレッチ4:ストレッチ(上級者向け)
こちらのストレッチは首を痛めやすいため、行う場合は注意して下さい。
寝ている状態から足を頭の上に伸ばします。
手で腰を支え、無理のない範囲で静止しましょう。
理想ではこの形ができると、胸椎(きょうつい)が動きやすい状態になるため肩こりが緩和しやすくなります。
肩こりの原因とは?知っておきたい3つの悪循環
肩こりの原因1:筋肉量が少ない
肩こりの原因の1つ目として、筋肉量が少ないということが挙げられます。
筋肉の過剰な緊張や弛緩状態は血行不足を引き起こすため、筋肉が酸欠状態になり痛みや重だるさを感じやすくなります。
若いうちは筋肉がしっかりしているのでカバーできるのですが、加齢とともに筋肉量が落ちてくると、この痛みや重だるさが顕著に現れてくることになります。
また、猫背の姿勢になると、頭が身体の重心線より前に飛び出す形になってしまいます。
これは、首の両サイドにある「胸鎖乳突筋(きょうさにゅうとつきん)」が、前に出た頭を支えるために常に頑張っている状態です。
猫背の状態が続くと、大胸筋など前面の筋肉は常に縮んだ状態で固まり、反対に背中側の菱形筋などは筋肉が引き伸ばされた状態で筋肉自体が弱ってしまいます。(専門用語で「上位交差症候群」「硬化と弱化」といいます)
肩こりの原因2:首・肩のコリによる自律神経の乱れ
肩こりの原因の2つ目は、自律神経の乱れです。
自律神経には、緊張状態の時に働く「交感神経」と、リラックス時に働く「副交感神経」の2つがあります。
交感神経は血管を収縮させる働きがあり、緊張状態が続くと全身の血液循環が悪くなるので、筋肉も凝り固まりやすい状況になってしまいます。
また、首の筋肉の周辺には交感神経のスイッチのような神経節があり、首が凝ることで副交感神経のスイッチが入りにくい状況となりさらに悪循環に陥ることも多いです。
自律神経と呼吸は深い関係があり、呼吸を深くすればリラックスの「副交感神経」モードに入りやすいです。猫背で呼吸が浅い体勢を作り出すと、「交感神経」が優位になる→血行不足になる→首・肩が凝る、の悪循環に陥りやすくなります。
肩こりの原因3:姿勢の乱れ
肩こりの3つ目の原因は、姿勢の乱れです。
私たちの日常生活では、長時間のデスクワークや車の運転など、基本的には腕を前に出して作業するため猫背になりやすいです。
「猫背」=「身体が丸まる状態」になると、
- 胸郭(きょうかく)が狭くなる(=肋骨が潰されて広がりにくくなる)ことで呼吸が浅くなる
- 胸椎(きょうつい)が後ろに凸になる事で頭が前に出てアゴが上がった状態になる(ストレートネックと呼ばれる)
といった弊害が起こります。
※胸郭(きょうかく):胸をとりまく骨格のこと
姿勢の乱れによって肩こりが起こる理由
立った状態では、私たちは胸を張って姿勢を良くしようとしますが、胸椎(きょうつい)の動きが悪いため、よく動く腰椎(ようつい)の方を動かして胸を張ろうとしてしまいます。
そうすると腰が反りすぎた状態になり、肋骨が上に向いた状態になります。この状態では、胸式呼吸にシフトしやすくなってしまいます。
胸式呼吸は、首から鎖骨についてくる筋肉(胸鎖乳突筋や斜角筋など)を頑張って使う呼吸なので、本当は望ましい呼吸法ではないのです。
胸式呼吸による「頑張った呼吸」が習慣化すると、首肩の凝りが治らない原因になります。また、寝ている間も反り腰&アゴが上がった状態で寝てしまうため、マッサージや整体を受けても一晩で戻ってしまうのです。
姿勢の乱れが睡眠の質低下につながる
また、アゴが上がる事で舌が喉元に落ち、口が開いて口呼吸になります。つまり、アゴが上がった状態はいびきの原因となり、眠りの質が下がる事に繋がります。
眠りの質が悪くなると、慢性的に疲れが抜けにくくなるのでストレスたまりやすく、「交感神経」が優位になりやすいです。そのため、身体が凝りやすくなってしまいます。
反り腰を直して肋骨が上に向かないようにすると、腹式呼吸にシフトしやすくなります。腹式呼吸ができるようになると、呼吸を頑張らずに済むため肩こりの改善に繋がります。
また、腹式呼吸は腹筋のインナーマッスルを使うため、腹式呼吸が習慣化すれば下腹ポッコリお腹の改善にもつながります。
肩こりの原因についてまとめ
「姿勢の乱れ」~「運動不足」~「寝不足」の3つがぐるぐる悪循環で回る感じで、逆にどこかを直せばよい循環に回っていくことにも繋がります。
当院では筋肉を緩めて姿勢矯正&鍼で自律神経を整えて寝れるようにするという点で、良い循環に誘導する施術を行っております。
肩こりを根本から取り除く予防策:姿勢改善について解説
大浦先生いわく、「肩こりは肩を揉んでも、寝たら一晩で戻ってしまう。そこで、マッサージや鍼もやりながら、やはり根本から姿勢を直していくのがよい。」とのことです。
姿勢を良くして、根本から肩こりを解消していくための良い方法をお聞きしました。
肩こりを根本から治すために1:あごを引く
猫背になっていると、気づかないうちにあごがあがってしまいます。
立っているときも寝ているときも、理想的な姿勢はあごを引いている状態です。
あごを引くことができれば、肩甲骨の高さの背骨である「胸椎(きょうつい)」が動くようなるため、慢性的な肩こりが起こりづらくなります。
また、現代人は顎を引く筋肉が弱っているため、意識してあごを引く必要が出てきます。
ちなみに、胸椎はちょうどこのあたりです。背中の真ん中で、肩甲骨(天使の羽)あたりの高さの背骨です。
肩こりを根本から治すために2:腰が反らないようにする
立っているときに姿勢を正そうと思うと、どうしても腰が反りがちになります。
綺麗な姿勢でも、腰が後ろに反らないように気をつける必要があります。
コツとしては、肋骨が動かないようにして胸をはることです。
肩こりを根本から治すために3:胸椎の動きを良くする
先程も紹介させて頂きましたが、こちらのストレッチを行うことで胸椎(きょうつい)が動きやすくなり、慢性的な肩こりの解消に繋がります。
また、ストレッチポールなどを使って背中の筋膜をリリースするという方法もあり、もしストレッチポールを持っていれば肩こりにはよく効くのでおすすめです。
肩こりに効く筋トレ・体操を解説
肩こり解消筋トレ1:肩をすくめる
肩をすくめる運動は、肩・首まわりの筋肉をほぐすため肩こりにおすすめです。
写真のように、肩を上にすくめて、力をふっと抜きます。
10回ほど繰り返します。
肩こり解消筋トレ2:肩に手を置いて回す
手を肩に置き、写真のように回す運動もおすすめです。
肩甲骨まわりのこわばりを取り、肩こりを解消しやすくします。
肩こり解消筋トレ3:タオル手に持ちストレッチする
こちらはストレッチ的な要素が強いですが、タオルを手に持ち、図のように頭の後ろまで下ろす運動もおすすめです。
肩全体がストレッチされ、肩こりの解消に繋がりやすくなります。
肩こり解消筋トレ4:リアレイズ
こちらは肩周りの筋肉を発達させ、肩こりを起こしにくくするトレーニングです。
「リアレイズ」と呼ばれる筋力トレーニングで、図のように身体をかがめた状態で手を羽のように後ろに広げます。
負荷が軽ければ、500mlのペットボトルに水を入れて、両手に持ちながら行うのも効果的です。
肩こりに効くツボを3つに分けて紹介
肩こりツボ1:風池(ふうち)
風池(ふうち)は首のうしろ、うなじのあたりにあるツボです。
ちょうどうなじのくぼみのところにあり、自分で押す場合は親指で押すと押しやすいです。
首の緊張がとけやすくなるため、肩こりに効きやすいツボです。
肩こりツボ2:天柱(てんちゅう)
天柱(てんちゅう)は、上で紹介した「風池」というツボのすぐ隣りにあります。
風池の親指一本分内側の少し下にあります。
こちらも親指で押すと押しやすいです。ツボをおさえながら、頭をゆっくり前後に動かすとより効果的です。
肩こりツボ3:率谷(そっこく)
率谷(そっこく)は、耳の上の先端から指2本分上にあります。ちょうど耳の上に凹んだ部分があり、そこがツボになります。こめかみよりは若干後ろになります。
こちらも親指でツボを押しながら上に引き上げるように揉むと効果的です。
肩こりと「頭痛・首コリ・めまい」の関係について
猫背の状態になると、アゴが上がった状態になります。
アゴが上がると、後頭部と頚椎が近づき圧迫され、最も圧迫されやすい部位に「後頭下筋群(こうとうかきんぐん)」というインナーマッスルの集まりがあります。
後頭下筋群の筋肉の隙間には「大後頭神経(だいこうとうしんけい)」という神経が通っているため、アゴが上がることでこの神経が圧迫されてしまい、頭痛や目の奥の痛みが起きます。
また、肩こりによる頭痛は「緊張型頭痛」と呼ばれるものもあり、偏頭痛とは異なります。
緊張型頭痛は、肩がこることにより血流が悪くなり、肩甲骨まわりなど背中の筋肉が緊張することにより起こります。
また、前頸部とよばれる首の前側(あごの下)の緊張によっても頭痛が起こる場合があります。
首・肩のこりは上記で紹介したストレッチや筋トレで解消しやすくなりますし、鍼をうつことでより回復しやすくなります。
肩こりは枕に関係する?負担がかかりづらい寝方とは
私たちが猫背になると、あごが上がり首のうしろが緊張してきます。
あごが上がった状態では、頭の重さが首にかかりやすくなり、肩こりの原因となりやすいです。
横になったときでもアゴを引いた状態にできれば、立っているときもあごを引きやすくなります。
枕がしっかりしていても、アゴがあがってしまっていると日常生活で肩こりを起こしやすくなります。写真のように、あごを引いて寝ることを意識するのがおすすめです。
肩こりと腰痛の関係について|腰痛ストレッチも紹介
姿勢を正そうとして、胸を張ろうとすると腰を痛める場合が多いのです。
私達の身体は、背骨がS字のカーブを描いています。
しかし、猫背を治そうとして身体を真っ直ぐにしようとすると、腰が後ろに反ってしまい、このS字カーブがうまく保たれなくなります。
背骨のカーブはバネのように重さを吸収してくれますが、これがないと頭や上半身の重さが腰に直接かかってしまいます。
これにより腰痛が起こり、さらに肩こりにも繋がりやすくなります。
腰痛を解消しやすいストレッチを下記で紹介しておきます。
腰痛ストレッチ1:足を組んで前屈する
写真のように足を組み、前にかがみます。
イスなどに腰掛けてやりますが、足が下につく高さのイスを選びましょう。ベッドなどに腰掛けるのもおすすめです。
腰痛ストレッチ2:足を組み、膝をたてて前屈する
先程のストレッチから、さらにヒザを立てた状態にして前にかがみます。
ヒザを立てた方の足に向かって身体を無理のない範囲でひねるとよりストレッチがかかりやすくなります。身体に負担がかからないように、最新の注意を払って行って下さい。
肩こりのゴリゴリの正体は?
肩がゴリゴリというときは、肩こりが悪化している可能性が高いです。
無理にストレッチをせずに、まずは気持ち良い範囲でストレッチを行うことをおすすめします。
また、自力でのストレッチが難しい場合、鍼であれば比較的即効性があります。肩まわりが固くゴリゴリしている場合や首が張っている場合など、筋肉の緊張にはおすすめです。
肩こりのときに湿布は効果ある?
湿布は温冷に関係なく血行を良くするので、冷たいのでも温かいのでも肩こりにはおすすめです。
しかし、これはあくまで緩和する目的で使うべきもので、根本的な解決にはなりません。
肩こりを根本的に治すのであれば、姿勢の改善が重要になってきます。姿勢を治すための方法についてはこの記事の上で紹介させて頂きましたので、参考にして頂ければ幸いです。
肩こり解消についてまとめ
- 肩こり解消には胸椎(きょうつい)を動かすことが1つのポイント
- 姿勢を直さないと根本的な肩こり解消には繋がらない
- 肩こりが起こる原因は筋肉量の少なさや姿勢の乱れ・自律神経の乱れなど様々
- 肩こりによってめまいが起こることもある
- 睡眠による肩こりは、枕の状態よりもあごを引くことが重要
- 姿勢を正そうとして腰を反らせると腰痛につながるので注意
- 肩がゴリゴリいう場合は肩こりが悪化している可能性あり
ここまで肩こりの解消方法や原因などについて、鍼灸院アキュリートの大浦先生にお話を伺ってきました。
内容をまとめると、上記のようになります。
肩こりの解消方法やストレッチ方法などもまとめさせて頂きましたが、少しでも肩こり解消の手助けになれば幸いです。
インタビュー後に祐天寺アキュリートで施術してもらいました
また、インタビュー後にせっかくなので施術して頂きました。
マッサージも鍼も非常にピンポイントに効いて、私ワタナベの肩こりと腰痛もすっかりラクになりました。
お近くの方はぜひ祐天寺アキュリートにも足を運んでみて下さい。キレイな院内と確かな技術の院長でしっかりと施術して頂けますよ。
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